2022年10月25日(火) [ 治療について ]
こんにちは。
小林歯科医院ブログに辿り着いたみなさんは、こだわりの治療に興味津々のモチベーション高い皆さんと推察しています。
仕事がら、様々な歯科医院の院長と話をする機会があります。
もちろん、100人いれば100通りの考え方の歯科医院になっていることは、理解できるところです。
それだけの幾多の考え方があるのだから、その考え方やリテラシー(現代では適切に理解・解釈・分析し、改めて記述・表現するの意)に対して、疑問をもってしまうことも多くあります。
ここではそのようないくつかの「え~っ!」という考え方・リテラシーを紹介します。
歯科医院では、いろんな器具や機材、電子機器を使います。もちろん、いつかは不具合をきたすでしょうし、いきなりそれを迎える時もあるでしょう。
しかしながら、突然不具合を迎えたとき
「誰か余計なことしたのだろう」
「さっきまで使えていたのに」
と器具や機材などが壊れたことをスタッフ・従業員のせいにする先生がいました。
通常利用ができなくなる不具合が、いつ生じるかなど誰にも予想はできません。
そこを責任統括者としての院長が「いままで無事に使わせてくれて、ありがとう」というように許容ができない医院は、非常に危険です。
勤務するスタッフも、すぐに自分たちのせいにされると戦々恐々とし、医院にあるものを使用して働く気が起きなくなってしまいますよね。
院長のリテラシーがないがゆえに、不具合に陥ることもあるでしょう。それも含めてスタッフのせいにされる…。たまったものではありません。
そういう歯科医院は、ホントに危険です。
「うちの医院は、こういう風にしたい」
「こういう治療を提供したい」
という理想を掲げる院長は多くいます。
しかしながら、ただ理想を語るだけの院長と、とりあえず何かを手始めに動き出す院長とでは大きな違いがあります。今始めないことは、後からでも絶対始めたりしないです。
何か新しい機器を導入することにしても、今買うことを決断できなければ、後からは絶対買わないです。
車を買うことと同じです。今買わない決断をすると、その後新しい車種やモデルチェンジが行われます。さらに待てば、より新しい車種が登場しモデルチェンジもされることでしょう。
人は、便利さや革新を追及して商いをしているので、ずっと同じでいるということはないのです。だからと言って「待てばさらにいい物がでるから」では、永遠に買う日は訪れません。
歯科医院の機材においても、今は買わずに待っていれば、次のモデルチェンジでよりよい機能のものを手に入れらるかもしれません。しかしそれを待ち続けて、机上の空論でずっと過ごすか、その武器を今手に入れるのかでは、その医院の戦い方も変わってきます。
口ばかりの歯科医院は、机上で行う理論での戦いでは強いかもしれませんが、実際の武器は手にしないので、いつまでも結論や結果が出ることは無いでしょう。
歯科では、すべての治療に対して保険が適用されるわけではありません。よって、どこの歯科医院にも保険外診療のラインナップやオプションが存在しています。
そういった保険外診療の料金は、各医院の歯科医師が一生懸命勉強して知識を積み重ね、時間をかけて修得したより高度な治療の対価なので、いただいてもよいものでしょう。
もちろん、その保険外診療の価値観であったり、その意味を患者さんと共有できたからこその治療となるので、真摯に治療に臨むべきです。
そうであるのに、その金額をしっかり頂かず、安売りする先生もいます。そのような態度では、本当に真剣に治療に取り組んでいるのか疑問です。
またそのような行為は「え、それだけ値引きしても利益出てるんだ。普段どれだけ余計にもらっているの?」という不信感にもつながります。
やったことに対しては、しっかりと説明をしたうえで、対価としていただくべきだと思っています。
以上のように、多種多様な歯科医院があるがゆえ、様々な考え方が存在します。
歯科医院には、自らの口腔内を委ねることになるので、そのマッチングはとても重要です。
よいマッチングをするためには、先生の話を話をよく聞いてみることが一番だと思います。
そして話を聞くにあたり、分かりやすく説明してもらえる材料がそろっていることも大事になってくることでしょう。
それは画像であったり、イラストであったり、模型であったり…。
何もなしで説明されても理解しづらいですし、説明する側の姿勢も真摯なものとは言えません。
価値観が共有できた歯科医院にお願いできたとき、満足度が高い結果を得られると思います。
2022年10月25日(火) [ 治療について ]
こんにちは。
小林歯科医院ブログに辿り着いたみなさんは、こだわりの治療に興味津々のモチベーション高い皆さんと推察しています。
最近、患者様から「歯を残したい」というお問い合わせをよく頂戴します。これは患者様にとってごく当たり前なことです。しかし治療には、必要十分な条件が存在したり、最低限歯を削る必要があったりします。
そこには、十分な説明が必要ですし、それに見合った時間も必要でしょう。
そこで患者様が状況を理解するには、一番は画像による説明が必要不可欠と当院では考えています。
よって画像を撮ること、管理保管をすることは、歯を残すための生命線となります。
他の歯科医院を見学することも多いのですが、昨今「マイクロスコープ」というワードが独り歩きしています。
顕微鏡さえ買って導入すれば、精密な歯科治療ができると考えている歯科医院が増えてきました。
しかしながら、画像での説明や管理をまったく考えていない医院はたくさんあります。
たとえば、拡大視野下で治療をしているのに、説明の時は手鏡を持たせて説明する…。
顕微鏡を必要とする治療なのに、説明するときに手鏡では、必要な個所が見えないに決まっています。それでは、最初から説明する気ないと言っているのと一緒です。
(1)一見、問題のなさそうな銀歯(銀色)の詰め物です(ピントがずれて、すいません)。保険の診療では妥当な治療と言えるでしょう。しかし、銀歯のふちを見ると、隙間が空いていたり、その中で黒くなっていたり…。(2)銀歯だけをキレイに除去すると、その中には、むし歯が!何の意味もありません。
(a)右下第一大臼歯には、古い不適合な白い詰め物がありました。それだけをキレイに取り外してみると…。(b)手前の歯に、むし歯が飛び火していました。
(c)今度は、飛び火したむし歯をめがけて掘り進んでいき…(d)白く白濁したむし歯の部位に到達。キレイに除去していくと…(e)内側の方にもむし歯が浸潤していました。
このように、自分の歯の状態を画像で順立てて記録・説明されたら、納得したうえで「頑張って治療に取り組もう」という気持ちになりますよね。以上のことを、手鏡を持たされて「見てください」と説明されても、実際見えるはずがありません。
「マイクロスコープなどで撮影した画像の管理を疎かにしている歯科医院」=「説明を疎かにしている歯科医院」と言っても過言ではないです。
しっかりとやったことを見せない・説明しないということは、なにかやましいことがあるようにも感じてしまいます。
このデジタルの世の中、昔みたいなフィルムカメラじゃあるまいし、撮影がうまくいかなくても何回でも撮れるのですから…。
2022年8月16日(火) [ 治療について ]
こんにちは。
小林歯科医院ブログに辿り着いたみなさんは、こだわりの治療に興味津々のモチベーション高い皆さんと推察しています。
最近、患者さんから「歯を残したいので、根管治療でなんとかならないでしょうか」というお問い合わせを、よくいただきます。
当院では、『長期予防的低介入治療』を実践しています。それは、歯1本を救うことを目指すのではなく、歯を救うためにお口の中全体を考えていくという治療です。
そのため、患者さんには口を酸っぱくして言っている言葉があります。「無意味な治療は、高かろうが安かろうがしないほうがいいですよ‥‥」と。
そのことを踏まえて、今回は左上の1番奥の歯(第二大臼歯)の小さな銀歯修復を検討してみましょう。
この治療も、他の医院さんだと何ごともなかったように、「定期健診に来てください」になると思います。しかし私はこの状態のままでの定期健診は勧めません。
この銀色の修復物を、天然歯を削らないようにキレイに外してみましょう。銀色(≠銀歯)の修復物の下は、真っ黒です。
その理由は、1つとは限りません。以下のようなことが挙げられます。
①もともとむし歯が残っている
②銀歯をつけたとき虫歯の原因が混入していた
③もともとこの修復物が不適当である
④つける接着剤が、なくなって隙間になっている
銀色の修復物を外した、後ろ側の状態を見てみましょう。
修復物の境い目に沿ってキレイに真っ黒になっており、修復物が浮き上がっていたという不適合のためか、ひどく真っ黒になっています。
この状態を見て、見過ごしてもよい状態だと思う患者さんも、さすがにいないと思います。
赤枠線部分は、むし歯が非常に大きく、むし歯除去後に前医が盛り土をしています。
しかしながら、その盛り土部分の境界部分が明らかに黒くなっています。一旦その盛り土を取り除いてみましょう。
盛り土部分境界はすべて真っ黒になっており、その内部境界面もすべて真っ黒になっています。残念ながら、むし歯除去して盛り土したはずなのに、何の意味もなかったようです。
これこそが「意味のないことはやめましょう」の意としていることなのです。
当然、ここからむし歯の部分をすべて除去するのは、言うまでもありません。しかしながら、だいぶ深いむし歯になっているようです。
歯髄(神経)への刺激・ダメージをできるだけ抑えつつ、むし歯だけを除去していきます。のちに、この歯には再治療介入が必要になるのをできるだけ少なくなるような修復治療を行う予定です。
これが、当院が目指す『長期予防的低介入治療』です。これは、患者さんが自分の歯を可能な限り残すことにこだわるかこだわらないか、ご自身で決めていただき、ゴールを設定してもらうしかありません。
別に、銀色の修復物の下がこんな風に真っ黒になっていても構わないという人もいらっしゃると思います。それはその選択でも、別に問題ないでしょう。答えは一つではなく、その価値観に対しての満足度が答えだからです。
2022年7月26日(火) [ 治療について ]
こんにちは。
小林歯科医院ブログに辿り着いたみなさんは、こだわりの治療に興味津々のモチベーション高い皆さんと推察しています。
最近、患者様から「歯を残したいから根管治療でなんとかならないでしょうか」というお問い合わせをよく頂きます。
また、それと併せて「マイクロスコープを使っていますか?」というお問い合わせも同時にいただきます。
それだけ「マイクロスコープ」というワードが、普及し一般化している証拠でもあるということでしょう。それはとてもよいことだと思います。
一方で歯科医師側を見ると、「マイクロスコープ」さえ買ったら歯を残せると勘違いしている人がいることも事実です。
「天然歯を残す根管治療」という視点に立った時、マイクロスコープがあるだけで「質の良い根管治療が行える」ということではありません。
そして仮に「質の良い根管治療」が行えたとしても、それだけで天然歯を末永く残していけるということでもないのです。
それでは、「天然歯を残す根管治療」で重要な点とはどのようなことなのでしょうか。
根管治療の本質は、根管内の消毒治療です。そうなのにもかかわらず、う蝕(むし歯)という細菌感染部位が残っていては、本末転倒です。
まずはともあれ、う蝕をしっかりと取って、細菌感染部位を確実に除去することが重要になります。う蝕が残ったまま根管治療をすることは、無意味です。
う蝕を確実に除去した時に、残っている歯質が少なくなっていることがよくあります。不足し薄くなった歯質のままで根管治療を行うと、その部分から唾液が侵入してしまい、根管内が唾液に含まれる細菌に再感染してしまいます。
そこで薄くなった歯質を、「隔壁(かくへき)」というもので補います。これは城壁を作って、歯の内部の根管を守るようなイメージです。このように歯の内部への唾液の侵入を防ぎ、感染を制御することが非常に大切となります。
同時に「ラバーダム防湿」を用いれば、完全に近い形で唾液の混入を防ぐことができます。
しかし統計では、根管治療専門医でも確実にラバーダム防湿を行っている医院は、20%に満たないと言われています。しかしながら、この「ラバーダム防湿」は、根管治療の成否にすごく重要な要素を占めていることは、論文でも証明されています。
根管治療とは、根管内の消毒治療です。その消毒が十分にできるように根管の奥へのアクセスの確保、いわゆる「根管の拡大形成」が行われていることが、必要十分条件となります。
解剖学的に、歯髄(神経)が走行している根管の数や形態は、人によってさまざまです。ましてや、1~2cm四方くらいの歯の内部で、肉眼レベルでその歯髄がある位置や走行を正確に確認できるはずもありません。
そこで「マイクロスコープ」が必要となるわけですが、ただ「マイクロスコープ」を使うことだけではなく、見るべきところに確実にフォーカスを当てて治療を加えることができるという、歯科医師自身のセンスや技術・経験値が重要になってきます。
歯髄(神経)があった場所には、当然何かしら補われなくてはなりません。根管充填(こんかんじゅうてん)です。根管充填の方法や手技、材料にも様々なものがあり、目的によって適切なものを使い分ける必要があります。
このことに対する知識や経験値には、歯科医師によって大きな隔たりがあります。
当該処置歯が、どのような噛み合わせの状態で、どの程度の歯質が必要であるかを適切に判断し、それに準じた歯の土台を作ります(支台築造)。その際に、最適な材料と適切な手技で支台築造がなされていることが重要です。
根管治療の成否は根管部分の治療だけにとどまらず、根管の上にどのような歯の修復物を設置するかも、重要な要素であるということです。
残っている歯質の量を踏まえて、適切な形・材料の補綴修復物(ほてつしゅうふくぶつ)を、適切な方法で装着する必要があります。この部分の治療が、予後に大きくかかわってきます。これは、論文上でも示されていることです。
根管治療において、「マイクロスコープ」を使用した、「ラバーダム防湿」をした、ということだけではその治療は完全ではありません。歯の上部の補綴修復も適切に行うことで、はじめて目指す治療が達成できるのです。
そう考えた時に、保険治療内での補綴修復では、それを達成することが難しいということになります。
根管から上部の補綴修復まで、それぞれの治療ステージごとに必要十分な治療が行われて、初めて天然歯を救うことができます。
一足飛びに、「根管治療を保険じゃないのでやった!」と言っても、自動車で例えるなら、乗用車にレーシングカーのエンジンだけを載せたことと変わりません。エンジンだけが凄くよいものになったからといって、車台がそのままではレーシングカーと同じような走りや性能が発揮されないことと同じです。
一方で、ここまでお話しましたが「自分の歯でいられるということに、レーシングカー並みなことを求めていない」という考えも、選択肢の一つですし、不正解というわけでもありません。
それぞれの人の価値観に見合ったゴール、それを達成されることが正解でしょう。すべての人が、レーシングカーに乗っていなければならないということもありませんしね。
そのため、私はいつも患者さんに「自分はどうなりたいですか?」「どういうゴールを迎えたいですか」と聞いています。
それが、マラソンでいう42.195km先のゴールになりますし、僕たち歯科医師や歯科衛生士は、そのお手伝いをさせていただいています。
2022年7月19日(火) [ 治療について ]
こんにちは。
小林歯科医院ブログに辿り着いたみなさんは、こだわりの治療に興味津々のモチベーション高い皆さんと推察しています。
近年、マイクロスコープの販売台数も増え、設置している歯科医院も徐々に増えてきました。しかしながら、マイクロスコープとはどのようなもので、何ができるのか、反対に何ができないのかよく理解していない医院が多いのが実際のようです。
私も、マイクロスコープを設置している複数の医院さんで、治療のお手伝いをさせてもらいました。それに伴い顕微鏡下の診断で、保存不可能の診断をすると、「マイクロ使っているのに、なんで保存的にやってくれないの?」と言ってくる院長先生もいます。
「マイクロスコープ」という言葉が独り歩きして、マイクロスコープさあえあれば、歯を抜かなくて済む、すべての歯を保存できると間違って思っている院長先生が非常に多いのです。患者様も「他院で抜歯って言われたけど、マイクロスコープで救ってください!」といった話もよく聞きます。
歯科医師でもマイクロスコープの役割など正しく理解できていないのに、患者様が正しく理解できていないのも当然のことでしょう。
「マイクロスコープ」=「歯科用顕微鏡」です。強拡大することにより肉眼では見えなかった、わからなかったことがよく見えるようになります。マイクロスコープは、正確に診断及び治療することを手助けしてくれるツールであり、治療の器具ではありません。
そのため、より正確に診断することで、要抜歯ということにもなると思います。早期に抜歯することで、次の一手を確実性の高い治療に導くことができたり、その周囲の天然歯の健全な状態の維持を助けたりできるのであれば、結果として、積極的な長期予防的治療となりえます。もし、その抜歯が遅れるようなことがあれば、感染等が拡がってしまい、周囲の天然歯にも影響を及ぼすことでしょう。
マイクロスコープは、どんな歯でも絶対的に救ってくれる魔法の杖ではありません。
そこを勘違いしている院長先生は、「顕微鏡を高いお金を出して買ったのだから、うちの医院で救ってこれなかった歯も、救えるようになる!」と思い込んでいます。
ゆえに、現状ではマイクロスコープの販売台数だけは好調のようです。しかし、実際導入したとしても、それを覗き込めば救えない歯も救えるようになるということは絶対にありません!
そういう医院が多いので、販売台数が多くても、実際使っている医院は、全国でほんのわずか数%にしか満たないというのが実情です。
各歯科医院のホームページ上では、鬼の首を取ったかのようにマイクロスコープが紹介されていますが、実情は多くの医院で院内のオブジェになりさがっているのが現状です。
当院ではマイクロスコープを導入し、もちろんそれを完全に有効活用し、診断と治療に用いています。しかし、だからといって絶対的に天然歯を保存できるという案内はしていません。
あくまで、精密・正確な診断と治療をすることの手助けをしてくれる、またしっかりとした説明をすることを手助けしてくれる、有用なツールとして使用しています。
この内容をお読みになって、がっかりされた方もいらっしゃるかと思います。これが、歯科界の現実であり、実際です。
よくご理解を頂けたらと思います。
2022年3月23日(水) [ 治療について ]
こんにちは。
小林歯科医院ブログに辿り着いたみなさんは、こだわりの治療に興味津々のモチベーション高い皆さんと推察しています。お近くにある歯科医院は、ほとんどが保険診療に対応しております。今回はそういう歯医者さんのお金の面を見てみましょう。
皆さんもだいたい経験されていると思いますが、歯医者さんでの診療アポイントは、約30分で診療することが一般的だと思います。
1日8時間の診療時間で1人30分の診療アポイントの場合、1つの診療チェアでまかなえるのは、8(時間)÷0.5(時間/人)となり、最大16人を診ることができます。そして、何人もの勤務医の先生・スタッフがいて、複数の診療チェアがあることが一般的な歯医者だと皆さん想像されると思います。
保険点数という収支の枠組みの中で、1人当たり60分以上など時間をかけると、1日1台の診療チェアでは8人しか診ることができず、収支が取れません。そのため、保険診療では30分の予約というのが通常になってしまいます。加えて30分の診療という枠組みの中で歯科用顕微鏡を使うということは、回数ばかり増えるとともに、その都度準備に毎回時間が割かれてしまいます。これは肉眼診療や低倍率診療よりも格段と見えてしまうため、顕微鏡で治療するための準備も含めると診療時間のほとんどが割かれてしまうためです。
保険診療メインで顕微鏡を使用して治療されている歯医者さんは、収支度外視、またはボランティア精神で診療されている歯医者さんだと思われます。
最近ニュースで、医療の診療報酬点数の改定が報道されています。点数の改定で医科の点数は着実に高くなっていますが、歯科ではほとんど横ばいなのが現状です。
そのため歯科の保険医療機関では、これからも、もっともっと人数をさばいて収支を得る傾向になるでしょう。よって1人当たりの診療時間も割けず、キチンとした顕微鏡下で診療を受けるということはほぼ不可能となっているのが実情です。
加えて、昨今では顕微鏡を買って医院に設置するだけで、「顕微鏡を使っての精密な診療ができる」。それを医院の売りにしようとする歯科医院さんが非常に多いです。しかし、あちこち見学に行っても、そんなの使う余裕がなく、医院の片隅にオブジェとなっているところや、置いてあるけど使う環境整備ができていないところが多く、実際メーカーとの販売台数・普及率・使用率は一桁違うぐらい実際の臨床では使われていません。
顕微鏡を使った診療を行うということは、アポイントの取り方やスタッフの配置整備、医院としての診療ポリシー、顕微鏡を使った診療のための道具器材材料が整って初めてできる診療です。もちろん、それに伴う投資も必要になってくることでしょう。顕微鏡を使った診療は、保険診療に頼る診療運営形態のところでは物理的に困難となって然るべきだと思われます。
よって、1人当たり1時間程度のアポイントになってくるでしょうし、そのような費用の設定もご理解いただけたらと思います。
また、世間一般的な知識の浸透として、なんでも白い歯(セラミック)を入れてもらったら、約10万程度かかってしまうというのは、正しい知識ではありません。肉眼で削って作製したものと、顕微鏡下で削って作製したものが全く同一のものであるはずがないし、同じ対価であるのは信じがたいです。
しかしながら、それをどう選択するかは、患者さんご自身の価値観に大きく寄与してくるものとなるでしょう。
2022年1月30日(日) [ 治療について ]
こんにちは。
小林歯科医院ブログに辿り着いたみなさんは、こだわりの治療に興味津々のモチベーションの高い皆さんと推察しています。
歯科医師の中には、「信念はいらない。患者満足度だけだ」という先生がいます。
確かに、「患者の満足度」は非常に重要なことだと思います。
しかし、僕たちは物販ではなく医療を提供しています。そこで「信念のある治療」とはどういうことか考えてみます。
治療における信念は、「この患者様をどうしてあげたいか」ということだと思います。
例えば、病気の人がいます。それを見た人達は医師・歯科医師じゃなくても助けてあげたいと思うことでしょう。そして医師・歯科医師はその人を具体的にどうしてあげられるか治療する手段を持っています。つまり医師・歯科医師にとって「信念=患者さんをどういうふうに治してあげたい」ということが信念だと思います。
「信念はいらない。患者満足度が優先」という医師・歯科医師は、患者様が満足さえすれば、どういうふうに治してあげたいとか考えていないのでしょう。
歯科治療で例えると、この歯を2mm短くしたい、アイドルのように八重歯みたいに三角にして欲しいと言われたときに、そのとおりにしてあげれば患者満足度は上がります。しかしそれは美容院で美容師さんに前髪を2cm切ってとか、耳に髪がかからないようにしてとかと一緒のことです。
歯科治療は美容院と違って医療で見た目だけを治すところではありません。
美容院は見た目を「直します」。歯科は病気を「治します」。使う漢字が違うのだから、当然内容も違いますよね。
金銭面でも同じことが言えます。なんでも安いほうがいいし、良いものがいいに決まっています。しかし、良いものには手間や習熟するための努力・器材・材料などいろいろとお金がかかっています。そのため、良い治療内容を受けるということに費用が生じてしまうことはしょうがないことですし、それを上回る価値があると思われた患者様は、その治療を選択することでしょう。
お金をかけずに何でもかんでも保険治療内容で仕上げ、患者満足度が高いからいいと歯科医師側が思っているなら、その歯科医師は自費治療しないほうがいいです。ずっと保険診療が患者様のためになっていると信じているわけですから。また、それにまつわる器材も買う必要はないでしょう。
費用を頂戴するということは正当な対価です。それに見合った価値観や利益を共有できていれば、満足度高く良い結果を得られることでしょう。例えば、ベンツは非常にいい車だと広く一般的に知られています。それを限りなく安く、自分のお金の価値観の中で買える金額なら満足することでしょう。しかし、ベンツという車は、良い車になるのに研究や開発が繰り返され、費用がかかってその値段になっています。
その中で価値観を共有でき、その車に乗ることの利益を理解できる人が買うことができます。そうでないならば、元来買うことができないわけですから仕方のないことです。そのお客様に満足して欲しいために、100万円まで値下げすることもないでしょう。
ベンツを欲しくて理解納得した上で購入したお客様は、500万600万円だったからといって文句を言うはずもありません。満足する金額まで値下げしてくれないのは、分かり切ったことなのです。
2022年1月30日(日) [ 治療について ]
こんにちは。
小林歯科医院ブログに辿り着いたみなさんは、こだわりの治療に興味津々のモチベーションの高い皆さんと推察しています。
歯科医師の中に、「患者満足度だけが重要」「患者に寄り添う」という先生がいます。確かに「患者に寄り添う」ことは非常に重要なことで、「寄り添う」って言葉の響きも非常に良く大切な言葉です。しかし、「患者に寄り添う」ということは具体的にどのようなことでしょうか?
僕たちは歯科医師で、患者様をできるだけキチンと治してあげたいという使命と欲求があります。しかし、当院に来院される患者様からはよくこんな話を聞きます。
「治療の内容・方法について、こんなに話を聞いたことがない」
「知らない間に、銀歯の被せ物・詰め物になっていた」
このようにおっしゃる患者様は非常に多いです。
保険診療だから詳しく話をする時間がないためなのか、保険ならどこでもやっていると思っているのか、それとも自己負担金分だけの治療は最低限クリアしていると考えているのか…これは先生の言う「患者に寄り添う治療」なのでしょうか?
そもそもこのような治療を自分の身内や両親にもするとは考えられません。自分の身内や両親にもしたくないような治療のくせに、患者様に平然とするのは「患者に寄り添った治療」とは言えないでしょう。
ただお金をいただくということへの申し訳ないという気持ちがそうさせているのか、または保険診療は保険点数という金額が決められているため、自分がその保険の対価をいただくことに対して別に何とも思っていないだけではないのかと考えられます。
キチンとした治療をその患者様に提供するということは、それに至るまでの手間や技術の習得、器材の投資があり「正当な対価」です。そういったことも患者様に理解していただくのも歯科医師の仕事でもあります。
保険の金額なら、どこの歯医者でももらっているからいい。しかし、その治療内容は「患者に寄り添っている」と言えるのでしょうか。最低限の保険治療という内容をクリアしているからいいと思ってるのは「患者に寄り添う」治療なのでしょうか。これは歯科医師自らが患者さんの予後や未来を放棄しているようにしか思えません。
テレビでも銀歯の下は虫歯だらけと、世間一般知識として流布しているというのに、歯科医師側の意識が「保険治療なので」と言って逃れようとしていることは「患者に寄り添って」いますか?
2021年10月18日(月) [ 治療について ]
こんにちは。
小林歯科医院ブログに辿り着いたみなさんは、こだわりの治療に興味津々のモチベーション高い皆さんと推察しています。
前回のブログでは、どうして身体が悪いときは大きな病院・大学病院へ行くのに、歯の治療だけは近くで済ませたいのかお話ししました。これは治療の質に大きく関わり、今現在も肉眼レベルで診療を行っている先生のもとで治療を受けることは、キレイかつ噛み合わせが機能するように仕上がるとは到底思えません。これは肉眼レベルでは小さな歯、その中にある神経、さらに噛む面の溝まで見ることはできないためです。
また自費治療なのに肉眼レベルで行う治療では差別化ができているとは言えません。つまり、肉眼レベルでの治療の質は良いものではないということです。
もちろん、それでいいという患者様もいらっしゃいます。しかし、歯の治療はいままでどのような治療をしてきたか、自分の歯をどうしてきたかの積み重ねがそのまま現れています。
例えば、ずっと銀歯銀歯…で治療をしてきた場合、歳を重ねてからあちこちで2次的な虫歯が起こり、次々と抜歯しなければならない。またはその時点で天然歯の大切さに気付き、キチンと治療しようと思うにも高額な治療費になってしまう。そのようなことがよくあります。
早期にキチンとしておくことが、一番最短でしかも経済的です。また、キチンと治療する機会を逃さないように1ヶ月に1カ所、2か月に1カ所でもいいと思います。まずはキチンとしたゴールを迎えませんか?
2021年10月18日(月) [ 治療について ]
こんにちは。
小林歯科医院ブログに辿り着いたみなさんは、こだわりの治療に興味津々のモチベーション高い皆さんと推察しています。
歯医者さんを選ぶとき、どうやって選んでいますか?
それは近いほうが通いやすいですよね。でも、体の病気の時は電車に乗ってでも大きな病院・大学病院に行ったりしていますよね?
どうして、歯の治療だけは、近くにしたいのだろうか…?
今現在も診療を肉眼で行っている先生は、世間一般的なレベルだと思います。人間の眼はピント調節機能はあるけれども、拡大機能は備わっていません。見える見えないは、ピントが合っているか合っていないかだけです。
あの小さな歯、さらにその中にさらに細かい小さな神経が走っていて、それを肉眼で見る…想像してみてください。見えていると思いますか?さらに、歯の咬む面にも凹凸が備わっていて、それがあって初めて咀嚼(そしゃく)という機能を果たしています。
肉眼で咬む面の虫歯を削り、削った穴に充填を行って、キレイかつ機能するように出来上がると思いますか?
保険診療を肉眼で行って、保険外の自費診療も肉眼レベルで削り、型取りも同じ肉眼レベルで行うって、どのような差別化なんでしょう?特に違いなし?材料的な違いのみ?僕にはちょっと考えるに難しいです。
その逆も言えます。普段、顕微鏡下でキチンと精密な治療を行える技術を持った人が、保険診療でも自費診療でも同じ内容を提供することは難しいです。それは、キチンと自費診療ででもちゃんとした内容で治療を受けたいと思っていらっしゃる患者様に失礼だからです。
保険の診療は、戦後間もないころの診療制度です。金属の材料に至っても、その当時からさほど進化をしていません。終戦後70年以上が過ぎ、その当時の治療でいい状態がキープできるはずがありません。もちろん、これは定期健診を受けていようが、同じことです。
当院では、保険診療でない治療はすべて顕微鏡下での治療を行っています。大切な歯の治療は肉眼レベルでいいですか?質にこだわってみませんか?