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2022年10月25日(火) [ 治療について ]

画像を大事にする医院、大事にしない医院

こんにちは。
小林歯科医院ブログに辿り着いたみなさんは、こだわりの治療に興味津々のモチベーション高い皆さんと推察しています。

最近、患者様から「歯を残したい」というお問い合わせをよく頂戴します。これは患者様にとってごく当たり前なことです。しかし治療には、必要十分な条件が存在したり、最低限歯を削る必要があったりします。
そこには、十分な説明が必要ですし、それに見合った時間も必要でしょう。
そこで患者様が状況を理解するには、一番は画像による説明が必要不可欠と当院では考えています。

よって画像を撮ること、管理保管をすることは、歯を残すための生命線となります。

他の歯科医院を見学することも多いのですが、昨今「マイクロスコープ」というワードが独り歩きしています。
顕微鏡さえ買って導入すれば、精密な歯科治療ができると考えている歯科医院が増えてきました。
しかしながら、画像での説明や管理をまったく考えていない医院はたくさんあります。

たとえば、拡大視野下で治療をしているのに、説明の時は手鏡を持たせて説明する…。
顕微鏡を必要とする治療なのに、説明するときに手鏡では、必要な個所が見えないに決まっています。それでは、最初から説明する気ないと言っているのと一緒です。

(1)一見、問題のなさそうな銀歯(銀色)の詰め物です(ピントがずれて、すいません)。保険の診療では妥当な治療と言えるでしょう。しかし、銀歯のふちを見ると、隙間が空いていたり、その中で黒くなっていたり…。(2)銀歯だけをキレイに除去すると、その中には、むし歯が!何の意味もありません。

(a)右下第一大臼歯には、古い不適合な白い詰め物がありました。それだけをキレイに取り外してみると…。(b)手前の歯に、むし歯が飛び火していました。

(c)今度は、飛び火したむし歯をめがけて掘り進んでいき…(d)白く白濁したむし歯の部位に到達。キレイに除去していくと…(e)内側の方にもむし歯が浸潤していました。

このように、自分の歯の状態を画像で順立てて記録・説明されたら、納得したうえで「頑張って治療に取り組もう」という気持ちになりますよね。以上のことを、手鏡を持たされて「見てください」と説明されても、実際見えるはずがありません。

「マイクロスコープなどで撮影した画像の管理を疎かにしている歯科医院」=「説明を疎かにしている歯科医院」と言っても過言ではないです。
しっかりとやったことを見せない・説明しないということは、なにかやましいことがあるようにも感じてしまいます。
このデジタルの世の中、昔みたいなフィルムカメラじゃあるまいし、撮影がうまくいかなくても何回でも撮れるのですから…。

2022年7月26日(火) [ 治療について ]

根管治療の重要な要素

こんにちは。
小林歯科医院ブログに辿り着いたみなさんは、こだわりの治療に興味津々のモチベーション高い皆さんと推察しています。

最近、患者様から「歯を残したいから根管治療でなんとかならないでしょうか」というお問い合わせをよく頂きます。
また、それと併せて「マイクロスコープを使っていますか?」というお問い合わせも同時にいただきます。
それだけ「マイクロスコープ」というワードが、普及し一般化している証拠でもあるということでしょう。それはとてもよいことだと思います。
一方で歯科医師側を見ると、「マイクロスコープ」さえ買ったら歯を残せると勘違いしている人がいることも事実です。

「天然歯を残す根管治療」という視点に立った時、マイクロスコープがあるだけで「質の良い根管治療が行える」ということではありません。
そして仮に「質の良い根管治療」が行えたとしても、それだけで天然歯を末永く残していけるということでもないのです。

それでは、「天然歯を残す根管治療」で重要な点とはどのようなことなのでしょうか。

<1>根管治療を行うための前準備が確実に行われていること

①確実なう蝕除去が行われていること

むし歯除去
根管治療の本質は、根管内の消毒治療です。そうなのにもかかわらず、う蝕(むし歯)という細菌感染部位が残っていては、本末転倒です。
まずはともあれ、う蝕をしっかりと取って、細菌感染部位を確実に除去することが重要になります。う蝕が残ったまま根管治療をすることは、無意味です。

②唾液の侵入を確実に防げていること

ラバーダム
う蝕を確実に除去した時に、残っている歯質が少なくなっていることがよくあります。不足し薄くなった歯質のままで根管治療を行うと、その部分から唾液が侵入してしまい、根管内が唾液に含まれる細菌に再感染してしまいます。

そこで薄くなった歯質を、「隔壁(かくへき)」というもので補います。これは城壁を作って、歯の内部の根管を守るようなイメージです。このように歯の内部への唾液の侵入を防ぎ、感染を制御することが非常に大切となります。
同時に「ラバーダム防湿」を用いれば、完全に近い形で唾液の混入を防ぐことができます。

しかし統計では、根管治療専門医でも確実にラバーダム防湿を行っている医院は、20%に満たないと言われています。しかしながら、この「ラバーダム防湿」は、根管治療の成否にすごく重要な要素を占めていることは、論文でも証明されています。

<2>確実な根管治療が行われていること

①確実な根管清掃を行うための、視野の拡大や根管の奥へのアクセスが確保されていること

根管治療とは、根管内の消毒治療です。その消毒が十分にできるように根管の奥へのアクセスの確保、いわゆる「根管の拡大形成」が行われていることが、必要十分条件となります。

②解剖学的に見て根管治療がされるべき箇所に、確実に治療が加えられているということ

リーマー

解剖学的に、歯髄(神経)が走行している根管の数や形態は、人によってさまざまです。ましてや、1~2cm四方くらいの歯の内部で、肉眼レベルでその歯髄がある位置や走行を正確に確認できるはずもありません。

そこで「マイクロスコープ」が必要となるわけですが、ただ「マイクロスコープ」を使うことだけではなく、見るべきところに確実にフォーカスを当てて治療を加えることができるという、歯科医師自身のセンスや技術・経験値が重要になってきます。

③目的に対して適切な手技・材料を用いて根管充填が成されているということ

マイクロスコープ

歯髄(神経)があった場所には、当然何かしら補われなくてはなりません。根管充填(こんかんじゅうてん)です。根管充填の方法や手技、材料にも様々なものがあり、目的によって適切なものを使い分ける必要があります。
このことに対する知識や経験値には、歯科医師によって大きな隔たりがあります。

<3>根管治療後の補綴処置(形態の復元)

①噛み合わせに準じ、適切な材料・手技を用いた支台築造(しだいちくぞう)がなされていること

当該処置歯が、どのような噛み合わせの状態で、どの程度の歯質が必要であるかを適切に判断し、それに準じた歯の土台を作ります(支台築造)。その際に、最適な材料と適切な手技で支台築造がなされていることが重要です。

②最終的な歯の形態復元において、適切な治療方法・材料の選択がなされていること

セラミッククラウン
根管治療の成否は根管部分の治療だけにとどまらず、根管の上にどのような歯の修復物を設置するかも、重要な要素であるということです。
残っている歯質の量を踏まえて、適切な形・材料の補綴修復物(ほてつしゅうふくぶつ)を、適切な方法で装着する必要があります。この部分の治療が、予後に大きくかかわってきます。これは、論文上でも示されていることです。

根管治療において、「マイクロスコープ」を使用した、「ラバーダム防湿」をした、ということだけではその治療は完全ではありません。歯の上部の補綴修復も適切に行うことで、はじめて目指す治療が達成できるのです。
そう考えた時に、保険治療内での補綴修復では、それを達成することが難しいということになります。

根管から上部の補綴修復まで、それぞれの治療ステージごとに必要十分な治療が行われて、初めて天然歯を救うことができます。

一足飛びに、「根管治療を保険じゃないのでやった!」と言っても、自動車で例えるなら、乗用車にレーシングカーのエンジンだけを載せたことと変わりません。エンジンだけが凄くよいものになったからといって、車台がそのままではレーシングカーと同じような走りや性能が発揮されないことと同じです。

一方で、ここまでお話しましたが「自分の歯でいられるということに、レーシングカー並みなことを求めていない」という考えも、選択肢の一つですし、不正解というわけでもありません。
それぞれの人の価値観に見合ったゴール、それを達成されることが正解でしょう。すべての人が、レーシングカーに乗っていなければならないということもありませんしね。
マラソン
そのため、私はいつも患者さんに「自分はどうなりたいですか?」「どういうゴールを迎えたいですか」と聞いています。
それが、マラソンでいう42.195km先のゴールになりますし、僕たち歯科医師や歯科衛生士は、そのお手伝いをさせていただいています。

2022年7月19日(火) [ 治療について ]

マイクロスコープへの期待と実際

こんにちは。
小林歯科医院ブログに辿り着いたみなさんは、こだわりの治療に興味津々のモチベーション高い皆さんと推察しています。

近年、マイクロスコープの販売台数も増え、設置している歯科医院も徐々に増えてきました。しかしながら、マイクロスコープとはどのようなもので、何ができるのか、反対に何ができないのかよく理解していない医院が多いのが実際のようです。

私も、マイクロスコープを設置している複数の医院さんで、治療のお手伝いをさせてもらいました。それに伴い顕微鏡下の診断で、保存不可能の診断をすると、「マイクロ使っているのに、なんで保存的にやってくれないの?」と言ってくる院長先生もいます。

「マイクロスコープ」という言葉が独り歩きして、マイクロスコープさあえあれば、歯を抜かなくて済む、すべての歯を保存できると間違って思っている院長先生が非常に多いのです。患者様も「他院で抜歯って言われたけど、マイクロスコープで救ってください!」といった話もよく聞きます。
歯
歯科医師でもマイクロスコープの役割など正しく理解できていないのに、患者様が正しく理解できていないのも当然のことでしょう。

「マイクロスコープ」=「歯科用顕微鏡」です。強拡大することにより肉眼では見えなかった、わからなかったことがよく見えるようになります。マイクロスコープは、正確に診断及び治療することを手助けしてくれるツールであり、治療の器具ではありません。

そのため、より正確に診断することで、要抜歯ということにもなると思います。早期に抜歯することで、次の一手を確実性の高い治療に導くことができたり、その周囲の天然歯の健全な状態の維持を助けたりできるのであれば、結果として、積極的な長期予防的治療となりえます。もし、その抜歯が遅れるようなことがあれば、感染等が拡がってしまい、周囲の天然歯にも影響を及ぼすことでしょう。

マイクロスコープは、どんな歯でも絶対的に救ってくれる魔法の杖ではありません。

そこを勘違いしている院長先生は、「顕微鏡を高いお金を出して買ったのだから、うちの医院で救ってこれなかった歯も、救えるようになる!」と思い込んでいます。
ゆえに、現状ではマイクロスコープの販売台数だけは好調のようです。しかし、実際導入したとしても、それを覗き込めば救えない歯も救えるようになるということは絶対にありません!
そういう医院が多いので、販売台数が多くても、実際使っている医院は、全国でほんのわずか数%にしか満たないというのが実情です。
各歯科医院のホームページ上では、鬼の首を取ったかのようにマイクロスコープが紹介されていますが、実情は多くの医院で院内のオブジェになりさがっているのが現状です。
マイクロスコープ
当院ではマイクロスコープを導入し、もちろんそれを完全に有効活用し、診断と治療に用いています。しかし、だからといって絶対的に天然歯を保存できるという案内はしていません。
あくまで、精密・正確な診断と治療をすることの手助けをしてくれる、またしっかりとした説明をすることを手助けしてくれる、有用なツールとして使用しています。

この内容をお読みになって、がっかりされた方もいらっしゃるかと思います。これが、歯科界の現実であり、実際です。
よくご理解を頂けたらと思います。

2022年3月23日(水) [ 治療について ]

歯科医院の収支と治療の因果関係

こんにちは。

小林歯科医院ブログに辿り着いたみなさんは、こだわりの治療に興味津々のモチベーション高い皆さんと推察しています。お近くにある歯科医院は、ほとんどが保険診療に対応しております。今回はそういう歯医者さんのお金の面を見てみましょう。

皆さんもだいたい経験されていると思いますが、歯医者さんでの診療アポイントは、約30分で診療することが一般的だと思います。

1日8時間の診療時間で1人30分の診療アポイントの場合、1つの診療チェアでまかなえるのは、8(時間)÷0.5(時間/人)となり、最大16人を診ることができます。そして、何人もの勤務医の先生・スタッフがいて、複数の診療チェアがあることが一般的な歯医者だと皆さん想像されると思います。

保険点数という収支の枠組みの中で、1人当たり60分以上など時間をかけると、1日1台の診療チェアでは8人しか診ることができず、収支が取れません。そのため、保険診療では30分の予約というのが通常になってしまいます。加えて30分の診療という枠組みの中で歯科用顕微鏡を使うということは、回数ばかり増えるとともに、その都度準備に毎回時間が割かれてしまいます。これは肉眼診療や低倍率診療よりも格段と見えてしまうため、顕微鏡で治療するための準備も含めると診療時間のほとんどが割かれてしまうためです。

appointment

保険診療メインで顕微鏡を使用して治療されている歯医者さんは、収支度外視、またはボランティア精神で診療されている歯医者さんだと思われます。

最近ニュースで、医療の診療報酬点数の改定が報道されています。点数の改定で医科の点数は着実に高くなっていますが、歯科ではほとんど横ばいなのが現状です。

そのため歯科の保険医療機関では、これからも、もっともっと人数をさばいて収支を得る傾向になるでしょう。よって1人当たりの診療時間も割けず、キチンとした顕微鏡下で診療を受けるということはほぼ不可能となっているのが実情です。

加えて、昨今では顕微鏡を買って医院に設置するだけで、「顕微鏡を使っての精密な診療ができる」。それを医院の売りにしようとする歯科医院さんが非常に多いです。しかし、あちこち見学に行っても、そんなの使う余裕がなく、医院の片隅にオブジェとなっているところや、置いてあるけど使う環境整備ができていないところが多く、実際メーカーとの販売台数・普及率・使用率は一桁違うぐらい実際の臨床では使われていません。

顕微鏡を使った診療を行うということは、アポイントの取り方やスタッフの配置整備、医院としての診療ポリシー、顕微鏡を使った診療のための道具器材材料が整って初めてできる診療です。もちろん、それに伴う投資も必要になってくることでしょう。顕微鏡を使った診療は、保険診療に頼る診療運営形態のところでは物理的に困難となって然るべきだと思われます。

マイクロスコープ

よって、1人当たり1時間程度のアポイントになってくるでしょうし、そのような費用の設定もご理解いただけたらと思います。

また、世間一般的な知識の浸透として、なんでも白い歯(セラミック)を入れてもらったら、約10万程度かかってしまうというのは、正しい知識ではありません。肉眼で削って作製したものと、顕微鏡下で削って作製したものが全く同一のものであるはずがないし、同じ対価であるのは信じがたいです。

しかしながら、それをどう選択するかは、患者さんご自身の価値観に大きく寄与してくるものとなるでしょう。

2021年5月24日(月) [ 治療について ]

この歯、どうしますか?

こんにちは。

小林歯科医院のブログに辿り着いたみなさんは、こだわりの治療に興味津々のモチベーション高い皆さんと推察しています。今回は、実際の症例を見てみましょう。

これから実際の写真が出てきます。苦手な方は、この先お読みになるのをご遠慮ください。

<1>これは、ある患者さんの右上大臼歯の保険治療の銀歯です。


この写真は顕微鏡越しに撮影されているので、だいぶ拡大して撮影しています。

もし、保険治療の場合、肉眼でチェックしたら、「問題なし。また定期健診で来てくださいね。」ということになっていたでしょう。

みなさん、どこに問題があるかお分かりですか?この写真の歯には、大きな問題を抱えています。

<2>顕微鏡を使って、丁寧に患者様の歯を削らないように除去をしました。

銀歯の詰め物は不適合になります。どこの医院、誰が作っても境目から細菌感染が始まり、このように黒くなっています。それよりも大きな問題を抱えています。

<3>部分に注目です。隣り合う部分に大きな虫歯が隠れています。

<4>少しだけ削ってみると、中は虫歯が大爆発しています。

一見して、誰もが良い状況でないことが分かります。<1>の写真から、内部がこんな状態になっていることが、肉眼で想像できたでしょうか?

<5>虫歯を除去していくと、部分には小さな亀裂があります。

この亀裂に沿って虫歯は拡大したようです。これだけの亀裂があれば、虫歯の細菌は容易に通り抜けることができます。肉眼では確認ができません。可及的に除去を行っていきます。

皆さんは、どんな治療を受けたいですか?

皆さんの歯への関心・興味・希望が、その天然歯を長生きさせます。

いま、キチンと治しますか?今回も、「とりあえず...」でいきますか?その選択が歯の運命を決めます。

2021年4月8日(木) [ 治療について ]

顕微鏡-治療ツール?vs説明ツール?

こんにちは。
小林歯科医院ブログに辿り着いたみなさんは、こだわりの治療に興味津々のモチベーション高い皆さんと推察しています。
今回は、歯科用顕微鏡(マイクロスコープ)の話をします。

前回の記事でもお話ししましたが、顕微鏡を購入して使わない医院や、使いこなせない医院は販売台数ベースで増えているようです。

さて、顕微鏡下は術者にとってよく見えていると、容易に想像がつくかと思います。もちろん良く見えているので、時間はかかりますが丁寧に精密な治療を手助けしてくれることでしょう。

しかし、顕微鏡自身が治療をするわけではありません。よく見えることで、手助けをしてくれるだけです。さらに最近の顕微鏡は、標準装備で記録装置を兼ね備えている場合が多いです。

マイクロスコープ

記録装置が見えている内容や術者が見ている内容の記録を取り、患者様に見せることで今の状態を現実のものとして受け止めてもらい、「どうしてそうなったのか、どうしたらそうならないようにできるのか」を自分の問題として理解してもらう必要があるからです。

いままで、歯医者さんに行ったとき、鏡を渡されて「ここがこうです。」「ここがこうなっています。」と説明された経験あるかと思います。僕もあります。

はっきり言わせてもらって、「そんなの見えるわけないでしょ!」って、ずっと思ってきました。何の意味あるんでしょうか?と僕は思っています。

マイクロスコープ

また他人の歯の治療見本を見せられても、ピンとこないですよね。自分に起きていることだからこそ、身に迫っていることとして受け止められるわけです。

そのような意味で記録は重要ですし、それを踏まえて説明を受けたら、自分のことなので「何とかしなければいけない」と思うことでしょう。

歯科用の顕微鏡は治療の手助けツールとして、最強の武器です。同時に、最強の説明ツールでもあるのです。

自分の歯が、いまどんな状況なのか、どれだけ良くないのか、どれだけ良くなったのか、見たい知りたいですよね。

歯科医師の十分な説明は、重要なことであると、小林歯科医院では考えています。

2021年4月8日(木) [ 治療について ]

顕微鏡-見えるvs見たい

こんにちは。
小林歯科医院ブログに辿り着いたみなさんは、こだわりの治療に興味津々のモチベーション高い皆さんと推察しています。
今回は、歯科用顕微鏡(マイクロスコープ)の話をします。
マイクロスコープ

最近では、マイクロスコープが医院にあることを宣伝材料にする医院が増えてきました。所有率でみると、2桁のパーセントにようやく達したと言われています。しかし、マイクロスコープをしっかり使いこないしている医院は、5%にも満たないと言われています。

たしかに視野が拡大されるので、良く見えることでしょう。例えば、ぼんやり見えていた遠くの富士山の風景/景色が、山頂だけはっきり見える、ということになります。
富士山縮小

しかしながら、術者は山頂の何が見たいのでしょうか?
単に遠くの富士山の山頂がはっきり見える。それでいいのでしょうか?山頂の観測所を見たいなら、それを視野に収めなければなりません。

富士山拡大

結局「何を見たいか」それが無いのに、ただむやみやたらにマイクロスコープで拡大したところで「意味が無い」ということです。

何かが見たい、見つけたいから拡大視野にするのと、ただ漠然とよく見たいのとでは全く意味が違います。漠然と大きく見たいだけなら「じゃあ見えたところでどうしますか?」というきちんとした治療に結びつかないからです。

あなたは、どういう治療を受けたいですか?
マイクロスコープを使わない、あまり見えていない治療
マイクロスコープで、単に見えているだけの治療
マイクロスコープできちんと見つけて、見ている治療
どれを選択しますか?その選択に、あなたの歯の将来が決まってくると、僕は思います。

2021年2月10日(水) [ 治療について ]

精密根管治療の案内-前編-

「根管治療の案内」を前編と後編に分けてお伝えします。今回は前編です。

当院では、根管治療を重要視しています。
なぜなら、家を建てるに例えるなら、被せ物という住宅を建てるのに、その基礎の部分に当たる土台を疎かにして、見栄えのいい家を建てようとする人はいないからです。

根治

さらに、
保険治療で行われた根管治療
①キチンと見えていない
②根管治療で一番大事なラバーダム防湿もしていない
が、キチンとした被せ物(補綴治療)に見合っていないからです。

近いうちに、基礎工事に当たる根の部分で問題を起こし、お金をかけて治した被せ物を、再度破壊しなくてはならなくなります。

当院の精密根管治療は、保険診療の根管治療と、ここが違います。

<1>歯科用顕微鏡(マイクロスコープ)下での治療

マイクロスコープとは、脳外科の手術用顕微鏡の、歯科版です。これを使用することで、見えなかったとか、そんな言い訳はあり得ません。ただ、それでなにを見るか、見たいかが重要です。それは、その画像を見てる歯科医師の知識と技量に大きく関係します。

<2>ラバーダム防湿による感染コントロール下での治療

精密根管治療では、必ずラバーダム防湿下にて根管治療を行います。例外はありません。
根管治療では、マイクロスコープを使うことが治療成績を左右するのではありません。ラバーダム防湿にて、唾液の感染をコントロールしているかしていないかで、治療成績が大きく異なります。

海外では、100%行われています。日本では、専門医と言われている人でも、使用率は19%くらいと言われています。保険治療で行っている先生では、ラバーダム防湿を行っているところは、ほぼゼロに等しいです。

マイクロスコープを使って治療していても、ラバーダム防湿をしない治療は、ほぼ無意味です。

<3>患者さんそれぞれ、新品のファイルを用意・使用

精密根管治療患者様には、それぞれその患者様専用のファイルを用意いたします。

当然医療機関ですので、器具の滅菌清掃レベルは十二分です。しかし、使いまわすことによって、切削能力の低下、金属疲労など、トラブルを引き起こす原因となります。

保険治療の患者様で、すべて新品でご用意することは不可能です。
精密根管治療ご希望の患者様には、他の患者さんで使用した器具との混合使用は致しません。

続きは精密根管治療の案内-後編-で。続きはこちらから

2021年1月29日(金) [ 治療について ]

マイクロスコープと、その治療を成功に導くさまざまなこだわり-イス編

こんにちは。
小林歯科医院ブログに辿り着いた皆さんは、精密歯科治療などの「こだわり」のある治療に興味がある方だと思います。
マイクロスコープを用いた治療を行うにあたっては、治療に関する全てのことに「こだわり」が必要です。「こだわり」がなければ、マイクロスコープ導入したとしても、単に虫メガネとして使っているに過ぎないことになります。

マイクロスコープでは視野が20倍となります。
そこで皆さん、想像してください。

肉眼で見る1cm×1cmの視野は、実寸も1cm×1cmです。
しかしマイクロスコープで見る1cm×1cmの視野は、20倍に拡大して覗いているので、実寸は1/20cm×1/20cmとなります。
1/20cm=0.005mmです。
つまり、1/100mm単位の精密な治療を行うことになるのです。
そしてその精密さに応じた、器具・スタイルが必要になってきます。

視野に応じた精度の高い動きができるよう、専用のドクター用治療イスを用います。

イス

そのイスを用いれば、ヒジを固定点として、細かく指先を動かせるようになります。
またそのヒジの位置も、どんな体形の人もしっかり固定できるよう、ヒジ掛けは円弧を描くように移動し、右左独立して高さを調整できます。

またそれ以外にも、座面の高さ調節はもちろん、マイクロスコープを覗き込む前傾姿勢をサポートできるように、座面が前方に傾くとともに、連動して背もたれが前方に倒れてきます。
普通のイスだとリクライニングのために後方に倒れますが、専用のイスは前方にのみ倒れて、前傾になっている背筋を支え、精密な動きをサポートします。

よって、マイクロスコープを用いた精密な治療を行うのに、事務用ひじ掛け椅子で代用することはできません。それでは治療のクオリティを下げてしまいます。

このように当院では、治療の妥協を許さないために、イス一つにもこだわりを持っています。
マイクロスコープ一つを導入しただけでは、「こだわり」のある診療は完遂できないということです。
全てに「こだわる」ための理由があり、イス一つにもこだわる。
それはこのブログで繰り返しお伝えしている、「長期予防的低介入治療」につながることでもあります。

2020年12月17日(木) [ 治療について ]

精密治療を実現するため、全てのことに意味があります

マイクロスコープ

こんにちは。
今こうして当院のブログを読んでいただいているということは、「精密歯科治療」ということに興味を持っていただいているのだと思います。

以前の記事でも説明してきましたが、当院ではマイクロスコープ(歯科用顕微鏡)を用いた精密歯科治療を行っています。

【マイクロスコープを用いる治療の価値】

ここでは「顕微鏡があることが凄い」ということではなく、「どれだけ使いこなしているか」ということが重要になります。
せっかくマイクロスコープを導入しても医院の片隅に置かれ、使われることなくホコリをかぶり、オブジェとなってしまっている医院は、実は数多く存在します。

メーカーの販売データを見ると、日本全国でマイクロスコープを導入している歯科医院は10%ほどであると考えられます。
しかしこの中でしっかりと使いこなせている医院は、数%に過ぎないでしょう。

マイクロスコープは視野が大きく拡大され、肉眼では見えないものを見ることができます。
しかし「見える」ということがゴールではありません。その拡大された視野に「うわー、スゴイ!」と驚いているだけであれば、 歯科医師以外の誰が見ても同じでしょう。

目的は、単純に「大きく拡大して見る」ということで
はなく、「何が見たいか」「それを見るためにどのくらいの倍率が必要であるか」ということなのです。それぞれの治療によって、必要な倍率は異なります。
そして「じゃあ見えたから、どうする?」ということに問題は移っていきます。

ではここで、歯を削るための器械の話をさせていただきます。

当院では、歯を削るために「タービン」は一切使用しません。

タービンとは、「キュイーン」というあの独特の甲高い音がする、ドリルを回転させるための器械です。
あの音は、空気の圧力で羽根車を高速回転させ、その回転によりドリルを回している音なのです。空気圧で羽根車を回しているため、ドリルの回転力(トルク)は強くありません。
ドリルが歯に触れると、その抵抗の方が羽根車を回す空気の力より強くなり、ドリルの回転数は落ちてしまいます。
また足元のペダルで空気のON/OFFのみを制御しているため、回転のコントロールはできません。
そのような器械で、歯を精密に削ることはできません。

精密な治療を実現するためにマイクロスコープを使っているのに、タービンで削っていては本末転倒ということです。

5倍速コントラ

そこで当院では、電動モーターでドリルを回す「5倍速コントラ」を使用して歯を削ります。
モーターであるため回転のトルクは常に一定であり、電気で制御されているため足元のペダルで回転数のコントロールが可能です。これであれば、精密で正確な歯の切削面を描出することができます。

この話からも分かっていただけると思いますが、マイクロスコープによる治療にこだわるのであれば、その他すべての器具・器械・材料にもこだわらなければ意味を成さないということです。

「マイクロスコープで治療をする」≠「マイクロスコープで精密な治療をする」

ということなのです。

当院では「マイクロスコープによる精密な治療をする」ために、用いる器具・器械・材料には、すべてにおいて意味と理由、こだわりがあります。

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