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2022年10月25日(火) [ 治療について ]

画像を大事にする医院、大事にしない医院

こんにちは。
小林歯科医院ブログに辿り着いたみなさんは、こだわりの治療に興味津々のモチベーション高い皆さんと推察しています。

最近、患者様から「歯を残したい」というお問い合わせをよく頂戴します。これは患者様にとってごく当たり前なことです。しかし治療には、必要十分な条件が存在したり、最低限歯を削る必要があったりします。
そこには、十分な説明が必要ですし、それに見合った時間も必要でしょう。
そこで患者様が状況を理解するには、一番は画像による説明が必要不可欠と当院では考えています。

よって画像を撮ること、管理保管をすることは、歯を残すための生命線となります。

他の歯科医院を見学することも多いのですが、昨今「マイクロスコープ」というワードが独り歩きしています。
顕微鏡さえ買って導入すれば、精密な歯科治療ができると考えている歯科医院が増えてきました。
しかしながら、画像での説明や管理をまったく考えていない医院はたくさんあります。

たとえば、拡大視野下で治療をしているのに、説明の時は手鏡を持たせて説明する…。
顕微鏡を必要とする治療なのに、説明するときに手鏡では、必要な個所が見えないに決まっています。それでは、最初から説明する気ないと言っているのと一緒です。

(1)一見、問題のなさそうな銀歯(銀色)の詰め物です(ピントがずれて、すいません)。保険の診療では妥当な治療と言えるでしょう。しかし、銀歯のふちを見ると、隙間が空いていたり、その中で黒くなっていたり…。(2)銀歯だけをキレイに除去すると、その中には、むし歯が!何の意味もありません。

(a)右下第一大臼歯には、古い不適合な白い詰め物がありました。それだけをキレイに取り外してみると…。(b)手前の歯に、むし歯が飛び火していました。

(c)今度は、飛び火したむし歯をめがけて掘り進んでいき…(d)白く白濁したむし歯の部位に到達。キレイに除去していくと…(e)内側の方にもむし歯が浸潤していました。

このように、自分の歯の状態を画像で順立てて記録・説明されたら、納得したうえで「頑張って治療に取り組もう」という気持ちになりますよね。以上のことを、手鏡を持たされて「見てください」と説明されても、実際見えるはずがありません。

「マイクロスコープなどで撮影した画像の管理を疎かにしている歯科医院」=「説明を疎かにしている歯科医院」と言っても過言ではないです。
しっかりとやったことを見せない・説明しないということは、なにかやましいことがあるようにも感じてしまいます。
このデジタルの世の中、昔みたいなフィルムカメラじゃあるまいし、撮影がうまくいかなくても何回でも撮れるのですから…。

2022年7月19日(火) [ 治療について ]

マイクロスコープへの期待と実際

こんにちは。
小林歯科医院ブログに辿り着いたみなさんは、こだわりの治療に興味津々のモチベーション高い皆さんと推察しています。

近年、マイクロスコープの販売台数も増え、設置している歯科医院も徐々に増えてきました。しかしながら、マイクロスコープとはどのようなもので、何ができるのか、反対に何ができないのかよく理解していない医院が多いのが実際のようです。

私も、マイクロスコープを設置している複数の医院さんで、治療のお手伝いをさせてもらいました。それに伴い顕微鏡下の診断で、保存不可能の診断をすると、「マイクロ使っているのに、なんで保存的にやってくれないの?」と言ってくる院長先生もいます。

「マイクロスコープ」という言葉が独り歩きして、マイクロスコープさあえあれば、歯を抜かなくて済む、すべての歯を保存できると間違って思っている院長先生が非常に多いのです。患者様も「他院で抜歯って言われたけど、マイクロスコープで救ってください!」といった話もよく聞きます。
歯
歯科医師でもマイクロスコープの役割など正しく理解できていないのに、患者様が正しく理解できていないのも当然のことでしょう。

「マイクロスコープ」=「歯科用顕微鏡」です。強拡大することにより肉眼では見えなかった、わからなかったことがよく見えるようになります。マイクロスコープは、正確に診断及び治療することを手助けしてくれるツールであり、治療の器具ではありません。

そのため、より正確に診断することで、要抜歯ということにもなると思います。早期に抜歯することで、次の一手を確実性の高い治療に導くことができたり、その周囲の天然歯の健全な状態の維持を助けたりできるのであれば、結果として、積極的な長期予防的治療となりえます。もし、その抜歯が遅れるようなことがあれば、感染等が拡がってしまい、周囲の天然歯にも影響を及ぼすことでしょう。

マイクロスコープは、どんな歯でも絶対的に救ってくれる魔法の杖ではありません。

そこを勘違いしている院長先生は、「顕微鏡を高いお金を出して買ったのだから、うちの医院で救ってこれなかった歯も、救えるようになる!」と思い込んでいます。
ゆえに、現状ではマイクロスコープの販売台数だけは好調のようです。しかし、実際導入したとしても、それを覗き込めば救えない歯も救えるようになるということは絶対にありません!
そういう医院が多いので、販売台数が多くても、実際使っている医院は、全国でほんのわずか数%にしか満たないというのが実情です。
各歯科医院のホームページ上では、鬼の首を取ったかのようにマイクロスコープが紹介されていますが、実情は多くの医院で院内のオブジェになりさがっているのが現状です。
マイクロスコープ
当院ではマイクロスコープを導入し、もちろんそれを完全に有効活用し、診断と治療に用いています。しかし、だからといって絶対的に天然歯を保存できるという案内はしていません。
あくまで、精密・正確な診断と治療をすることの手助けをしてくれる、またしっかりとした説明をすることを手助けしてくれる、有用なツールとして使用しています。

この内容をお読みになって、がっかりされた方もいらっしゃるかと思います。これが、歯科界の現実であり、実際です。
よくご理解を頂けたらと思います。

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