2020年12月5日(土) [ 治療について ]
こんにちは。
このブログを読まれているということは、歯に悩みや関心があり、調べて行くうちに当院のこのサイトにたどり着いた方ではないかと察しています。
そんな皆さまの中では、自分のお口の中の状態について「3ヶ月に一度定期的な検診に行っているから大丈夫」「いま痛くもなんでもないから大丈夫」と安心していらっしゃる方も多いと思います。
例えば、定期健診をしっかりと受けて「問題ありません、それではまた3ヶ月後に来てください」と歯科医師から言われていたとします。
しかし、その健診が肉眼レベルで行うものであれば、情報量が少ないがゆえにお口の中の小さな異常を見過ごされているだけかもしれません。
そのような状態で、本当に歯を守っていることになるのでしょうか?
最近ではNHKで「銀歯の下はむし歯だらけ」と特集を組まれるくらい、保険による金属の治療の限界は、一般的に認識され始めています。
皆さんのお口の中にも、保険治療の銀歯があるのではないでしょうか?
何も詳しく説明されずに、いつの間にか銀歯で治療をされていたという声は、当院の患者さんからも多く聞こえてきます。
保険診療となると説明に多くの時間を割くことができず、他の歯科医師の方々も苦慮されていると思います。しかし「もし説明されていれば、保険の銀歯の治療は選択していなかった」という患者さんからのお叱りの声もよく耳にします。
「今まで受けてきた銀歯の治療」=「長年の負の蓄積」を全てリセットしたいと考えられた場合、お口の中の全ての銀歯の治療をやり直す必要があります。
その治療には長い時間と、多くの経済的な負担が発生します。
そのことを、「フルマラソン」に例えてみましょう。
お口の中の銀歯や問題を全て治療し終えて、完璧で理想的な状態―それを、フルマラソンの42.195kmを完走した状態とします。
マラソンは、無理をして自分に合わないペースで走り、結局苦しくなって5kmでやめたり勝手に10kmをゴールとしてしまっては意味がありません。
どれだけ時間をかけようと、42.195kmを走り切れば、完走したことになります。
世界トップレベルの2時間というタイムで走る必要はありません。自身のペースで6時間をかけて走ったとしても、完走したことに変わりはないのです。
このことを、歯の治療に置き換えて考えてみてください。
毎週1本ずつのペースで保険外の治療を受けていれば、身体的にも経済的にも疲弊して、嫌気がさしてくると思います。
これは、フルマラソンを2時間で完走しようとするペースの治療といえるでしょう。
しかし月に1本ずつ、ゆっくりと歯を治していったとしましょう。たしかに時間はかかるかもしれませんが、身体的にも経済的にも負担はかなり軽減されていきます。
そのため、このゆっくりしたペースで続けていけば、治療を最後まで完遂することができるでしょう。
小林歯科医院は「完走をする」ということが、何よりも大切なことだと考えています。
患者さんがしっかりと完走できるようなペースでの治療を提供しています。
そのために、治療にかかる経済的な負担を軽減できるような工夫も行っています。
また肉眼レベルの治療を受けている方は、自身が気づかないうちに10kmでマラソンをやめてしまっている状態かもしれません。
そのような状態で「定期検診をしっかりと受けているから」と安心しても、意味がありません。
是非、私たちと一緒にフルマラソンを完走しませんか?
2020年10月24日(土) [ 治療について ]
今回は、臓器としての「歯」についてお話します。
「歯」は、心臓や胃と同様、臓器の一つです。
心臓や腸などといった器官が病気になった時と、「歯」が病気になった時、たいていの方は「内臓」が病気になった時の方が深刻で重大だと考えると思います。
「歯」の病気=むし歯や歯周病にかかっても、それほど重要なこととは捉えられない現実はたしかにあると思います。
何故そうなのでしょうか?
そこには、「内臓の病気は健康や生死に直結するけれど、むし歯になっても死にはしない」という考えがあるのかもしれません。
しかし歯がなくなって満足に食事をすることができなくなり、流動食や点滴での生活となったらどうでしょうか?
口元が気になって人前で笑ったり話すことができず、人目を気にしながら過ごす毎日が楽しいでしょうか?
「豊かに楽しく健康に生活できる」という観点においては、歯も内臓も同じように重要なものなのです。
また、歯は同じ硬い組織である骨と似ているように感じますが、骨の様に折れても再び自然修復されることはありません。髪や爪のように切ってもまた伸びてくる、皮膚のように自然に傷口が塞がるということもありません。
むし歯になり一度削ってしまえば、二度とその組織は戻ってくることがないのです。
ただ、今は歯科医療も発達してインプラントなどの治療で補えると考える方もいるかもしれません。
しかし、インプラントでは食べ物の固い柔らかいは分かりません。天然の歯の自然な感覚とは別物で、歯ぐきに埋め込まれた異物であることに変わりはないのです。
つまり皆さんには、歯は内臓と同じレベルの大切な臓器であるという考えを持っていただきたいのです。
例えば、ある臓器ががんになってしまったとしましょう。
そこに重粒子線治療というものを行えば、臓器の切除を最小限に抑えることができ、その機能も維持できるということが分かりました。しかしその治療はかなり高額なものです。
この場合、あなたならどうしますか?
たとえ高額だったとしても、金銭的に許容できれば、必ずその治療を受けると思います。費用を抑えるために「とりあえず、バッサリ開腹してやってくれ」という人はいないでしょう。
歯の治療も同じです。
先にお話ししたように、歯は内臓と同じように重要な臓器であるので、「とりあえず保険治療で必要最低限のことだけでいい」となってはいけません。
「これからの人生で、何の問題もなく食事を楽しめて、口元を気にせず元気に話すことができる生活」
この価値観を守るために、治療に10万円が必要となったとしても、それが高額だと感じるでしょうか?
後々問題が起こると分かっていても、とりあえず保険治療の数千円で済ませてしまえば、結果的により大きな負担をもたらすことになってしまうでしょう。
歯という臓器の大切さを理解し、私と同じ価値観を持っていただける方であれば、お互いが満足できる幸せな治療を実現できると考えています。
まただからと言って、高額な費用負担が患者さんの治療の足かせになっては意味がありません。
そこで当院では、患者さんが治療を受けやすく感じていただけるように、様々な工夫を重ね、現在の料金体系を設定しています。
この話を読んで共感していただけましたでしょうか。
考えを同じくして、共感していただけた方には、治療を受けに来ていただきたいです。
また完全には納得できなくても、少しでも何か引っかかるものを感じた方も、是非一度ご来院ください。お口の中を診させていただき、歯に対する、口腔に対する、機能に対する、治療に対する考えをお話しさせてください。そして、その価値観を一緒に共有できればと願っています。
2020年9月26日(土) [ 治療について ]
当院はマイクロスコープを用いた精密歯科治療を行っています。
マイクロスコープとは、分かりやすく言えば「治療用の顕微鏡」です。
この顕微鏡では歯を最大20倍まで拡大して見ることができ、その拡大された視野下で治療を行います。
歯科治療はミリ単位の世界で行われます。
1mm×1mmの1辺を20倍に拡大したとすれば20mm×20mmとなり、面積を比較すると実物の400倍となります。つまり肉眼での治療に比べ、400倍の情報量下での治療となるのです。
歯という小さな対象物を肉眼の400倍の情報量で見る―そこでは治療の精度に圧倒的な差が生まれるということが、容易に想像できると思います。
そして400倍ともなれば、肉眼では見えなかったものが確実に見えてきます。
肉眼で見えなかったが故に処置されなかった個所が、マイクロスコープで見えるようになれば、そこにも確実に処置が施されるようになります。
つまり「治療の精度が上がる」ということですが、それに伴い治療にかかる時間も必然的に延びることとなります。
マイクロスコープを使った治療は、
・圧倒的な情報量下での精密な治療
・それに付随して治療時間が長くなること
この2つが特徴です。
これは、保険診療ではどうしても実現できない治療です。
保険では予め治療の内容や費用が決められているため、診療にそこまでの時間を取ることができません。
皆さんは歯科医院での保険診療で、通院回数が多くかかる、という経験をされたことはありませんか?
これは歯科医師にとっては、1回にかけられる治療時間が少なく、しかも肉眼レベルでしか見えていないため、治療の回数を多く取ることで、自分自身に対しても患者さんに対しても「しっかりした治療を行った」という言い訳にしている側面があると思います。
しかしマイクロスコープを使用した治療では、「見えなかった」「時間をかけられなかった」という言い訳は通用しません。
そこでは私たちも、全力で妥協のない治療を提供する義務があります。
そうした治療の性質を理解していただけて、「精密で精度の高い治療」という価値を求めていただける方に、マイクロスコープを用いた精密治療を提供させていただきたいと考えています。
では何故、精密で精度の高い治療が必要なのでしょうか?
一般的な保険による歯科治療では、治療後の予防ケアにしっかりと取り組んでいても、むし歯が再発してしまうことがよくあります。
「定期健診、定期的なクリーニング・メンテナンスをしっかりしていたのに、何故むし歯が再発してしまったのだろう?」と思ったことはありませんか?
このことは、保険診療の精度の低さに起因しています。
肉眼レベルの治療や肉眼レベルの検診では、ごく小さなむし歯の存在や再発は見逃してしまいます。次に肉眼レベルでむし歯を見つけられるようになった時には、すでに手遅れになっている、ということも少なくありません。
当院はそのような治療や検診を、意味があるものとは考えていません。
マイクロスコープを用いて精度の高い治療を行えば、そこまで予防ケアに神経質にならずとも、むし歯が再発しにくい良好な状態を長く維持できるようになります。
再発リスクの少ない確実な治療を行い、そこから気軽に定期的な検診・クリーニングに取り組んでもらう。
これこそが本当に歯を守るための治療のあり方なのです。
私たちはこのことを「長期予防的低介入治療」と呼んでいます。
これは当院の全ての治療、器具・機材・材料の選択において通底する考えであり、マイクロスコープを用いた精密な治療もそのために行っています。
2020年9月26日(土) [ 治療について ]
当院に初めて来院された患者さんのお口の中を診ると、多くの方が銀のつめ物や被せ物をされていらっしゃいます。
そしてその銀歯をさらに注意深く観察してみると、ほとんどの場合、隙間や段差による不適合でむし歯が再発しています。一般的な保険の治療や検診では、肉眼では見えない銀歯の適合状態や、それによる小さなむし歯などは、見えていないので当然見逃されてしまいます。
しかし当院では接写カメラで歯の状態をチェックするため、修復物と歯の微細な隙間や、本人に全く自覚症状がないような小さなむし歯を発見することができます。
そこで当院では「長期予防的低介入治療」という観点から、お口の中にある全ての不適合な歯の治療をやり直し、一度口腔内の環境をリセットすることをお勧めしています。
しかし患者さんによっては、引き続き保険での治療を希望される方もいらっしゃいます。
そういった場合、お口の中で再発しているむし歯に痛みなどの特段の自覚症状がなければ、あえてその銀歯を取り除く治療はお勧めしていません。
それは何故か?
例えばその銀歯を取り除き、再発したむし歯の部分を削り、さらに一回り大きく削りを加えて保険診療の金属で歯を修復したとします。
しかしそれはただの銀歯のコピーを作ったにすぎず、またむし歯が再発してしまう治療となってしまうからです。
保険診療では、「治療と再発を繰り返し、やがて歯を失ってしまう」という負のデンタルスパイラルに陥ってしまうだけになってしまいます。
それであれば積極的な治療を行わない方が、まだ歯を長持ちさせることに繋がります。
⇒【負のデンタルスパイラル】※近日公開予定
また、当院では、治療の費用面でのハードルが下がるよう、保険外の治療で用いる歯の修復物の料金も考慮して設定しています。保険外の修復物のみを制作する技工所と連携し、少しでもコストを削減する努力をしていただけるところにお願いしています。
適合が良い精度の高い治療を行えば、むし歯は再発しにくくなります。一方、過度なメンテナンスやクリーニング自体が歯に負担を与えます。
それを回避するためにも、適合の良い精度の高い治療が必要であり、このような治療をするということは、まさに一石二鳥なのです。
これが当院の提唱する、「長期予防的低介入治療」という考え方の基本です。
2020年8月22日(土) [ 治療について ]
当院では、金属を使用しない「メタルフリー」治療を掲げています。
ただし、治療に金属を使用すること自体は「悪」ではありません。
保険診療のルールのもとで使用される、「金属の素材」と「接着剤」の組み合わせに問題があるのです。
保険診療で使用される銀色のつめ物やかぶせ物は、一般的に「銀歯」と呼ばれています。この銀歯は純粋な銀ではなく、様々な金属を混ぜ合わせて作られています。
その結果耐久性を持たせることはできるのですが、精度が犠牲になっています。
この金属の性質では、削った歯にぴったりと適合する精密な修復物を作ることができません。
その不適合をうち消すために接着剤を使用するのですが、保険診療で使用できる接着剤では理想的な合着(修復物と歯の接着)ができません。
純粋に「接着するため」だけではなく、「不適合の隙間を埋めるため」という目的もある接着剤では、接着力という品質が劣ってしまいます。その結果、修復物が外れてしまったり、歯と修復物の隙間からむし歯が再発するということが頻発してしまうのです。
つまり、
「悪」の修復物+「悪」の合着方法=むし歯が再発してしまう治療
ということなのです。
この、むし歯の治療と再発を繰り返し、やがて歯を失ってしまうという「負のデンタルスパイラル」についてはこちらをご覧ください。
⇒【負のデンタルスパイラル】※近日公開予定
保険診療を離れて素材に純金を用いれば、精密で適合のよい修復物を作ることができ、「むし歯が再発してしまう治療」にはなりません。そのため、金属の治療自体が悪ということではありません。
しかし現状では国際的に金の価格が高騰しており、わざわざ高額になる材料を選択して、口を開けたら金色にキラキラ輝く歯を望む人は少ないのではないでしょうか。
もし患者さん本人が金属色が口の中にあっても構わないという場合には、12K・14K等の純金治療もおすすめできます。
しかしそうではない場合、適合がよく、見た目も自然で、費用もある程度抑えられる材料となると、選択肢は自ずとセラミックとなります。
当院ではそういった材料選択の結果として「メタルフリー」という治療方針となっているのです。
セラミックという材料の適合についてや、当院で制作するセラミック修復物については、こちらをご覧ください。
⇒【セラミックという材料の特徴について】※近日公開予定
⇒【デジタル至上主義では実現できない修復物の精度】※近日公開予定
保険診療外とはなりますが、適合のよいセラミックの修復物に最適な合着方法を用いれば、治療後の歯の状態は安定し、むし歯の再発リスクも低くなります。
そのため必要最低限のケアを行えば、健康な状態を長く保てるようになります。
「メタルフリー」という治療においても、「長期予防的低介入治療」という考え方が根底にあるのです。
2020年8月4日(火) [ 治療について ]
ラバーダム防湿法。
皆さんは聞き慣れない言葉だと思います。
この写真のような、ゴムでできたシートをラバーダムといいます。
そして、露出している歯がこれから治療を行う歯です。
このラバーダムを用いた治療法を、ラバーダム防湿法と呼びます。
当院では歯の根っこの治療時には、必ずこの治療法を用います。
ではこのラバーダム防湿法には、どのような意味があるのでしょうか?
それを理解するには、まずむし歯の原因を知る必要があります。
人の口の中には、むし歯菌が存在します。この菌は常在菌と呼ばれ、ほとんどの人の口の中に存在しています。歯の小さな亀裂や隙間などにこの菌が入り込み、繁殖してしまうことでむし歯が引き起こされます。
つまり、人の口の中にはむし歯菌が存在し、むし歯とは菌による感染症である、ということです。
次に、歯の根っこの治療について考えてみましょう。
むし歯が神経にまで達してしまった場合には、歯の根っこの中の神経を全て取り除き、キレイに掃除します。
そして掃除が終わったら、薬剤を詰めて歯にフタをします。
ここで先ほどの説明を思い出してください。人の口の中には、むし歯菌が存在しています。もし治療中にだ液などが根っこの中に入ってしまっていたら、歯の中にむし歯菌を閉じ込めてしまうことになるのです。
そうなると治療後は何もなくても、数ヶ月後、数年後にそこからむし歯が再発してしまう可能性が非常に高くなります。
それを防ぐための方法が、ラバーダム防湿法です。
ラバーダムを用いて治療する歯だけを露出させることで、口の中のだ液などが歯の中に侵入することを防ぐ(=防湿)のです。
ラバーダム防湿法を用いる治療と、用いない治療では、用いた治療の方が圧倒的によい状態を保てます。
歯科用顕微鏡(マイクロスコープ)の使用の有無よりも、ラバーダム防湿法の有無の方が、治療成績に大きな影響を与えます。
アメリカの歯科治療では、ラバーダムを使わないで治療をすると訴訟になるとまで言われています。
当院では、歯の根っこの治療時には必ずラバーダム防湿法を用います。
患者さんが嫌がられたとしても、必ずこの方法で治療を行います。
これは「長期予防的低介入治療」という、当院の治療信念に基づいているからです。