2020年9月26日(土) [ 治療について ]
当院はマイクロスコープを用いた精密歯科治療を行っています。
マイクロスコープとは、分かりやすく言えば「治療用の顕微鏡」です。
この顕微鏡では歯を最大20倍まで拡大して見ることができ、その拡大された視野下で治療を行います。
歯科治療はミリ単位の世界で行われます。
1mm×1mmの1辺を20倍に拡大したとすれば20mm×20mmとなり、面積を比較すると実物の400倍となります。つまり肉眼での治療に比べ、400倍の情報量下での治療となるのです。
歯という小さな対象物を肉眼の400倍の情報量で見る―そこでは治療の精度に圧倒的な差が生まれるということが、容易に想像できると思います。
そして400倍ともなれば、肉眼では見えなかったものが確実に見えてきます。
肉眼で見えなかったが故に処置されなかった個所が、マイクロスコープで見えるようになれば、そこにも確実に処置が施されるようになります。
つまり「治療の精度が上がる」ということですが、それに伴い治療にかかる時間も必然的に延びることとなります。
マイクロスコープを使った治療は、
・圧倒的な情報量下での精密な治療
・それに付随して治療時間が長くなること
この2つが特徴です。
これは、保険診療ではどうしても実現できない治療です。
保険では予め治療の内容や費用が決められているため、診療にそこまでの時間を取ることができません。
皆さんは歯科医院での保険診療で、通院回数が多くかかる、という経験をされたことはありませんか?
これは歯科医師にとっては、1回にかけられる治療時間が少なく、しかも肉眼レベルでしか見えていないため、治療の回数を多く取ることで、自分自身に対しても患者さんに対しても「しっかりした治療を行った」という言い訳にしている側面があると思います。
しかしマイクロスコープを使用した治療では、「見えなかった」「時間をかけられなかった」という言い訳は通用しません。
そこでは私たちも、全力で妥協のない治療を提供する義務があります。
そうした治療の性質を理解していただけて、「精密で精度の高い治療」という価値を求めていただける方に、マイクロスコープを用いた精密治療を提供させていただきたいと考えています。
では何故、精密で精度の高い治療が必要なのでしょうか?
一般的な保険による歯科治療では、治療後の予防ケアにしっかりと取り組んでいても、むし歯が再発してしまうことがよくあります。
「定期健診、定期的なクリーニング・メンテナンスをしっかりしていたのに、何故むし歯が再発してしまったのだろう?」と思ったことはありませんか?
このことは、保険診療の精度の低さに起因しています。
肉眼レベルの治療や肉眼レベルの検診では、ごく小さなむし歯の存在や再発は見逃してしまいます。次に肉眼レベルでむし歯を見つけられるようになった時には、すでに手遅れになっている、ということも少なくありません。
当院はそのような治療や検診を、意味があるものとは考えていません。
マイクロスコープを用いて精度の高い治療を行えば、そこまで予防ケアに神経質にならずとも、むし歯が再発しにくい良好な状態を長く維持できるようになります。
再発リスクの少ない確実な治療を行い、そこから気軽に定期的な検診・クリーニングに取り組んでもらう。
これこそが本当に歯を守るための治療のあり方なのです。
私たちはこのことを「長期予防的低介入治療」と呼んでいます。
これは当院の全ての治療、器具・機材・材料の選択において通底する考えであり、マイクロスコープを用いた精密な治療もそのために行っています。
2020年9月26日(土) [ 治療について ]
当院に初めて来院された患者さんのお口の中を診ると、多くの方が銀のつめ物や被せ物をされていらっしゃいます。
そしてその銀歯をさらに注意深く観察してみると、ほとんどの場合、隙間や段差による不適合でむし歯が再発しています。一般的な保険の治療や検診では、肉眼では見えない銀歯の適合状態や、それによる小さなむし歯などは、見えていないので当然見逃されてしまいます。
しかし当院では接写カメラで歯の状態をチェックするため、修復物と歯の微細な隙間や、本人に全く自覚症状がないような小さなむし歯を発見することができます。
そこで当院では「長期予防的低介入治療」という観点から、お口の中にある全ての不適合な歯の治療をやり直し、一度口腔内の環境をリセットすることをお勧めしています。
しかし患者さんによっては、引き続き保険での治療を希望される方もいらっしゃいます。
そういった場合、お口の中で再発しているむし歯に痛みなどの特段の自覚症状がなければ、あえてその銀歯を取り除く治療はお勧めしていません。
それは何故か?
例えばその銀歯を取り除き、再発したむし歯の部分を削り、さらに一回り大きく削りを加えて保険診療の金属で歯を修復したとします。
しかしそれはただの銀歯のコピーを作ったにすぎず、またむし歯が再発してしまう治療となってしまうからです。
保険診療では、「治療と再発を繰り返し、やがて歯を失ってしまう」という負のデンタルスパイラルに陥ってしまうだけになってしまいます。
それであれば積極的な治療を行わない方が、まだ歯を長持ちさせることに繋がります。
⇒【負のデンタルスパイラル】※近日公開予定
また、当院では、治療の費用面でのハードルが下がるよう、保険外の治療で用いる歯の修復物の料金も考慮して設定しています。保険外の修復物のみを制作する技工所と連携し、少しでもコストを削減する努力をしていただけるところにお願いしています。
適合が良い精度の高い治療を行えば、むし歯は再発しにくくなります。一方、過度なメンテナンスやクリーニング自体が歯に負担を与えます。
それを回避するためにも、適合の良い精度の高い治療が必要であり、このような治療をするということは、まさに一石二鳥なのです。
これが当院の提唱する、「長期予防的低介入治療」という考え方の基本です。